2010年12月20日

ひそやかな花園    角田光代


内容紹介
幼い頃、毎年サマーキャンプで一緒に過ごしていた7人。
輝く夏の思い出は誰にとっても大切な記憶だった。
しかし、いつしか彼らは疑問を抱くようになる。
「あの集まりはいったい何だったのか?」
別々の人生を歩んでいた彼らに、突如突きつけられた衝撃の事実。
大人たちの〈秘密〉を知った彼らは、自分という森を彷徨い始める――。

親と子、夫婦、家族でいることの意味を根源から問いかける、
角田光代の新たな代表作誕生。


      **         **

「八日目の蝉」とリンクするものがあります。
人との繋がり、親子とは、家族とはなんだろう。

さまざまな人物が登場しますが、
決して複雑なものではなく、
それぞれの心理描写が繊細に描かれています。
作品の完成度は高いと思います。


うっすらと残る幼少期の夏のキャンプ。
あれはなんだったのだろう。
読み手も疑問に持ち、どんどんとページを捲る手が止まりません。
最悪の結果、破滅への展開だったら――と、
思いながら読みましたが、
角田さんは迷い子にそっと光ある手を差し伸べているような結末を書かれています。

血の繋がり、親子、家族。
知らなければよかった。
いや、『それでも知るほうを選ぶ、
混乱して、逃げるほうを
』紀子の言葉には安心しました。
混乱してもいい、逃げてもいい。
閉じこもるのはもうごめんだと――。


親の視点での話が気になります。
ただ、父方の話だとつらいかも。


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ラベル:小説 角田光代
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2010年12月17日

ドラママチ  角田光代



内容(「BOOK」データベースより)
欲しいもの…子ども、周りの称賛、やる気、
私の人生を変えるドラマチックな何か。
でも現実に私の目の前にあるのは、単調な生活に、どうしようもない男、中途半端な仕事…。
高円寺、荻窪、吉祥寺、東京・中央線沿線の「街」を舞台に、
ほんの少しの変化を待ち望む女たちの姿を描いた、心揺さぶる八つの短篇。


          **          **

それぞれの『待つ女』
何を待つの、なぜ待つのか、それともただ動かないだけなのか、
動けない理由があるのか。

主人公たちはどこにでもいるような女たちです。
もっとも、
そのどこにでもいるような女を表現するのが巧みです。
いやだなぁ。こんな女はいないだろう――。
いやいや、よく見ると隣で笑っている女がそうかもしれないし、
自分のことかもしれない。

でも、いやだなぁ。と思いながらも読み進めると、
途中のストーリーからは雰囲気が大きく変化します。

前半は、焦燥感、虚脱、虚無、
閉塞感が文面、行間から表現されています。
後半は、その中から抜けたところにある『光』が、
うっすらと射しているのです。

悪くない。
待つことが空っぽな場所にあるとわかっても、
この主人公たちはドラマに満ちた人生を歩んでいるような気がします。


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ラベル:小説 角田光代
posted by オハナ at 17:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 角田光代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月14日

八日目の蝉   角田光代


内容(「BOOK」データベースより)
逃げて、逃げて、逃げのびたら、
私はあなたの母になれるのだろうか。
理性をゆるがす愛があり、罪にもそそぐ光があった。
角田光代が全力で挑む長篇サスペンス。

          **         **

不倫相手の乳児を誘拐し、
三年半逃亡生活をする希和子。
その乳児は薫と名づけられ育てられる。
希和子は逮捕され、
薫と呼ばれていた恵理菜は、
元の親のところへ戻り大学生となっている。


不倫をしたあげく、乳児を誘拐する。
そういってしまえばおしまいなのですが……。

絶対にしてはならない「間違った」ことをした希和子。
愚かなこととはわかっていますが、
愛情とはどんなに深いことだろうと思いました。
すべてを捨ててもいいという思いでも、
ただ一つのものを守り抜こうとする希和子の感情が、
行間から溢れ出ています。

そして、引き裂かれてからの恵理菜の心情。
元に戻った生活は、決して元には戻っていない。
希和子を憎むことで、
なんとか自分の居場所を確保しようとする。
しかしながら、希和子と同じような状況に立たされる…。

角田さんは、
愚かで、でも賢い。
弱くて、でも強い。
そんな等身大の女性を鋭く表現してきます。

引き裂かれるときの
「その子は朝ごはんを食べていないの」
と叫んだとされるところは、心に響きました。


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ラベル:角田光代 小説
posted by オハナ at 17:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 角田光代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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