2011年04月12日

かたちだけの愛  平野啓一郎


電車の中で、本を読んでいる人がいると気になります。
何の本を読んでいるのかしら……と。

ふと顔をあげて、女の子の肩越しに見えた文面。
細かい字で昔の本だとうかがえる……
何だろう。

見出しにあったのは「ドグラマグラ 下」
出た!!
これ、昔初めて読んだ時はページを開くたびに瞼が下がっていったのを覚えています。
全然ページが進まない。


阪急電車に乗ることもあるのですが、
有川浩の「阪急電車」を読んでいる人もちらほら見ます。
今津線ではないんですが……。
アズキ色の電車です。
宝塚音楽学校の生徒もよく乗る電車ですね。

シュッとした男性の尻ポケットに文庫が突っ込まれているのもいいですね。
あの無造作感が男らしい。



内容(「BOOK」データベースより)
自動車事故で、片足を切断する大怪我を負った女優の叶世久美子。
偶然、現場に駆けつけたデザイナーの相良郁哉は、その後、彼女の義足を作ることになる。
しだいに心を通わせていく二人は、それぞれの人生の中で見失っていた「愛」を取り戻そうとするが…。
平野啓一郎が描く、愛のかたち。


   **  **  **  **


“決壊”からの分人三部作の三作目。
(あ、ドーンは未読。近々読みます)

分人主義(ディヴィジュアリズム)とは平野さんが言うには、
「閉ざされた共同体では一人の個人で通用したけれども、
都市化やネット社会化によって人はバラバラな顔をもち、
場に応じて自己を調整する能力が求められる。
これまで人格が変わることはネガティブに思われてきたが、
肯定した方が楽になる」

「その上で、自分の中の分人の比率、バランスを考えることです。
対人関係や場所の分だけ、分人を抱え込むことになりますが、
好きな、居心地がいいというか、“生き心地がいい”分人をベースにして生きていくべきだと思います」

平野啓一郎さん公式ブログ

この考えを聞いてから、平野さんを気にするようになりました。


“決壊”のように読み手に突き付けるような感覚を得ることはありませんでした。
全体的にきれいです。
決壊の破壊力ってそりゃもう、
ハンパねぇー!!!



愛とは、相手の存在が、自らを愛させてくれることではあるまいか?
ここ!ここを読んでいるとき、首がへし折れるほど頷いていました。
その人といる時の自分が好き、
そう思わせてくれる人と一緒になれたら幸せですよね。

誰かと“付き合っている”としても、
その時の自分を愛せなかったら疲れるだけです。
結局別れるハメになる……。
そんな付き合いを繰り返しても意味がないと思う今日この頃なのです。


『愛とは今、相手に配慮を通じて表現されるよりも、
無我夢中の自己満足を通じて表現された方が、
はるかに信用出来、
真実らしいと感じられるものだった』


確かにそうかもしれません。
配慮ばかりだと、それはただの親切に過ぎないのです。
実感できる愛について、きちんと言葉で表現してくれています。


セックスの喜びについても、
『相手の中に、献身と身勝手さ、思いやりと独りよがり、
奉仕と要求を、両(ふたつ)ながらに発見することであり、
完全な身勝手さに愛がないのと同様に、
完全な献身にもまた愛はないのだった』


ここは思わずニヤリとなってしまいました。
そうなんだよ!!そうなんだよ!!と。


全体的には、もっと渦巻いたものを読みたかったのですが
それは“ドーン”で楽しみたいと思います。


私の中でうまく言葉にできずに体の中で浮遊したままになっていることを、
こうもうまくバシッとあらわしてくれると
ほんとにスッキリしてニヤリとしてしまいます。


ちなみに、この本の帯がいいですね。
煽り言葉がないのがいい。
そして、抜粋箇所が好き。

特に帯の裏。
セックス(本文中では健康)について書かれています。


ぜひ、機会があればこの本の帯を見てください。
装丁も美しい。



へぇ。と思ったら押してください。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
励みになりますゆえ。


ていうか、……記事の文面、長っっ!!
読みにくいですね……(゚∀゚;)アチャー




ラベル:平野啓一郎 小説
posted by オハナ at 13:52| Comment(0) | TrackBack(0) | ハ行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月14日

決壊 上下巻  平野啓一郎



2002年10月全国で犯行声明付きのバラバラ遺体が発見された。
容疑者として疑われたのは、被害者の兄でエリート公務員の沢野崇だったが……。
〈悪魔〉とは誰か?〈離脱者〉とは何か? 止まらぬ殺人の連鎖。
明かされる真相。そして東京を襲ったテロの嵐!
“決して赦されない罪”を通じて現代人の孤独な生を見つめる感動の大作。
内容(「BOOK」データベースより)

    **    **    **

ずっと気になっていた平野啓一郎さん。
難解、と聞いていたので手を出せなかったです。
でも、比較的“決壊”は読みやすいとのことで手にしました。

ううううん!!!!
難解。
哲学的述懐というのか、人物の独白には頭を悩ませました。
納得できるできないではなくて、理解ができない。
上巻でいろいろ語られる独白・知識は少し鼻につきました。
自分の頭の悪さが露呈される、そんな感じです。
でも、なんとか理解しようとしました。
これは何か意味があるのだろうか……。


いいや、とんでもなかったです。
そんなことを思ってしまった自分が恥ずかしい。
(でも、書いちゃう)

下巻に入ると、先ほどまでの疑問そっちのけで
どんどんと読み進められました。
上下巻を通して、これでもか、という程に現代社会が組み入れられています。

虐め、引き籠もり、喘息、アトピー性皮膚炎、
過保護な親、学校教育者、
低年齢層における性、ネットでの匿名性、携帯電話の使用法、
無差別殺人、被害者、加害者、
善を叫ぶ悪意ある第三者、世論の連鎖
メディア、コメンテーター、警察、人種。
エリート、韓流ブーム、鬱病……。

それぞれの伏線が特に回収されたわけでもないが、
逆に今の現実問題がより一層重く感じられた。
これは今の日本、現実をそのままうつした小説です。

現実ではそれぞれの問題がきちんとおさまることもなく、
毎日が過ぎ去っていると思います。
様々な問題は決壊し野放図となっている。

終わりは冒頭を反映させています。
それに気がついたときは身震いしました。
結末は、なぜそのような終わり方をしたのだろう。
いや、それしかないな、と。納得。
平野さんもインタビューにて仰っています。
「小説らしい、都合の良い結末は全部疑って、本当にそんなことで済むのかと、最後まで徹底的に問題を掘り下げました。」

エンターテイメント小説として読むと肩透かしするかもしれません。
しかし、重い。肩が凝った。
正直読んでいる最中はうんざりする箇所も多々あり、
頻繁に出てくる傍点には疲れます。
そして、やっぱり独白の部分等は理解はできませんでした。
残念
(もしかしたらこの小説の半分も理解できていないのかも)


でも、この作品は長く私に絡みつくような気がする。



へぇ。と思ったら押してください。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
励みになりますゆえ。

ラベル:平野啓一郎 小説
posted by オハナ at 22:58| Comment(0) | TrackBack(0) | ハ行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月07日

殺人の門       東野圭吾



普通の人間が「殺人者」に至るまでの心理を描いてる。
殺人者になるために、何が欠けているか――。


  **  **  **  **  **  ** *

東野作品は何冊か過去に読みました。
好んでは読まない――って思いはあるのに、買ってしまいました。

主人公「田島」の半生を描いた作品なのですが、田島にはイライラさせられました。
幼少からの友達「倉持」につきまとわれ、何度も田島は苦い思いをするのですが、
なぜ、学習しないんだ!!!こいつといたら不幸になると小さいころから思っていたのなら、さっさと縁を切ればいいじゃないか・・・・・・
などと、終始イライラ〜イライラとしていました。
大人になってからは、ねずみ講にペーパー商法、株の空取り引き――などと田島の願ってもいない方向へと押し込まれてしまいます。
「普通の生活」を願っているのなら、さっさと倉持から離れたらいいのに・・・・。


作品は600ページと長編で、淡々と進んでいき、劇的な展開があるわけではありません。
それなのに、読んでいることが苦痛にならなかったのは、
東野圭吾の筆力なんでしょうね。

「読者が早く殺してしまえとさけびたくなったら、満足」
という東野氏の狙いにあてはめると、
ほぼ成功でしょうね。

私個人は読後感が悪い作品は好きなのですが、
この本の読後感は種類が違います。
ラベル:東野圭吾  小説
posted by オハナ at 11:13| Comment(0) | ハ行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年03月01日

ジウ     誉田哲也



人質篭城事件発生。数か月前の未解決児童誘拐事件を結ぶ少年ジウ。その背後で複雑に絡み合う黒幕の存在は・・・?

** ** ** ** ** ** ** 

一気に三冊読破しました。
友人が貸してくれたので、適当に早く読もうかな――と思って読み始めましたが早かったです。
こういうスピード感あるものは好みです。


が、途中だれてきました。
というのも、ストーリーは女性二人の視点から進んでいきます。
そのキャラクターがやはり、胡散臭く感じてしまう。
以前の「ストロベリーナイト」でも感じたことです。

今回の男性キャラクターはとても魅力的なのに・・・・・・。

何だかリアルに感じられない女性キャラクター。
同性だからでしょうか?

しかしながら、短期間で読破しましたので、十分楽しませてくれる小説だと思います。


ラベル:小説 誉田哲也
posted by オハナ at 23:06| Comment(0) | ハ行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月25日

M(エム)      馳星周




友人が貸してくれました。
「かなり官能小説やけど」と言いながら。

短編集なので、サラサラっと読みやすかったです。
確かに官能的な文章ですが、頬を赤らめるまでではなかったように感じます。

普段の日常の中にあるエロスが描かれています。
周りから見れば普通の日常に見えますが、裏を見ればかなり非日常的な生活。

人の欲情という本能・・・恐ろしいです。
コンプレックスから湧き出てくる欲情とは、誰もが持っているものではないでしょうか。――実は本人が自覚していないだけで。



短編ではなくて、長編で読みたかったです。


S、Mについての本を書かれる小説家さんは多いです。
(谷崎潤一郎、江戸川乱歩・・・)
私の頭ではわからないですが、やはり作家さんには何か感ずるものがあるのでしょうかね。

私の頭では分かりません・・・・・・。


ラベル:小説 馳星周
posted by オハナ at 22:35| Comment(0) | ハ行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。