2011年03月25日

軽蔑  中上健次



出版社/著者からの内容紹介
トップレス・バーで働く美人の真知子と遊び人のカズさんが、
夜となく昼となくくり広げる愛欲の日々…。
新しい愛の形を必死に生きる男と女の運命を鮮烈な感性でとらえた長編。
内容(「BOOK」データベースより)



    **  **  **

中上健次、最後の長編小説。

歌舞伎町のトップレス・ダンサー真知子は、暴走族くずれの遊び人カズさんを恋男にした。
カズさんのことを初めから好きだった真知子。
周りからは、遊び人だから苦労するわよ、と言われても心はカズさんにあった。

ある日、客の前でいつものように煽情的に踊っていると
風のようにやってきたカズさんは真知子をさらっていった。
「これから高跳びだぜ」

恋い焦がれた男と連れ添うことができると嬉しく思う真知子だけど
不安にもなってくる。
なぜ高跳びなのか、
なぜ行き先が恋男の故郷なのか、
二人きりだけで、自分たちらしく生きられる歌舞伎町ではいけないのか。
それらの疑問を強く投げかけることなく恋男についていく。

作中で主人公の真知子が「男と女、相思相愛の五分と五分」と
幾度となく述懐するのですが、
これは呪文のように思えてきます。

どういうことが五分と五分なのか。
男はわかってはいません。
真知子が好きな男はどう見ても“ろくでもない男”
“遊ぶことしか能のない男”
博打を打ち、大きな借金をかかえて奔走する男。

私は読んでいるうちに、
「好きな男と寄り添いたいなら、五分五分と言わずについて行ったらいいじゃないの」
と歯痒くも感じました。
まさに呪文のように2人の運命をがんじがらめにしていきます。

どう考えても真知子の気持ちはわからないし、
共感できないと思いながら読み始めましたが、
そこは中上健次の文章なのでしょう。
女性の繊細な心、男に対する気遣い、女同志のささいなやりとり、
他の男に対しての心境などの描写が巧みです。

なにゆえここまで女性の心理をくみ取ることができるのでしょうか。


高利貸しの男に「綺麗な人だね」と真知子が言われたとき
真知子はこう返します。
「そんな言い方をされたら、女は有難うとしか言えない」
ここを読んでしばし考えました。
すごいさらりとしたかわし方で素敵、なんて感じたのですが
こんなこと言えないです。
でも、真知子ならそう返す。
そんな言葉の選び方が好きだなと思いました。


これはまた是非読み返したいです。
というのも、まだまだ私自身がくみ取れていない箇所が多すぎます。
花やたくさんのメタファーも多い……。


そうそう、この「軽蔑」というタイトル。
この真意をつかめません。
なんとなく感じるところはあったのですが
本を閉じた瞬間に霧散してしまいました。
軽蔑。誰が誰に――。
誰か教えて……(+_+)



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posted by オハナ at 21:52| Comment(2) | TrackBack(0) | ナ行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
中上健次って純文学の人でしたよね?
なんだか敷居が高いような気がします〜。気になるんですが。
Posted by ブースカ at 2011年03月26日 02:46


ブースカさん、どもども。

そうですね。一応純文学作家となっていますね。
「岬」で芥川賞だったかな?

そんなに敷居は高くないですよ。
思うままに、手にとって読んだ次第です。

一番の理由は、
「軽蔑」って陰鬱なタイトルと、装丁が気になったんですよ。

Posted by おはな at 2011年03月26日 11:02
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