2011年01月11日

あ・うん   向田邦子


内容(「BOOK」データベースより)
つましい月給暮らしの水田仙吉と
軍需景気で羽振りのいい中小企業の社長門倉修造との間の友情は、
まるで神社の鳥居に並んだ一対の狛犬あ、うんのように親密なものであった。
太平洋戦争をひかえた世相を背景に
男の熱い友情と親友の妻への密かな思慕が織りなす市井の家族の情景を鮮やかに描いた著者唯一の長篇小説。


        **      **      **

太平洋戦争をひかえた世相を背景にしています。
その時代のいたって普通の家族と、友情、口に出せない思慕を描いた作品です。

向田邦子さんは、一般家庭のとりとめのない会話や描写を
繊細に、且つそれをさらりと表現される方です。
大げさな言い回しや描写はないのに、印象に残る。
すんなりと画が浮かぶのです。

つましい月給暮らしの水田仙吉と
軍需景気で羽振りのいい中小企業社長の門倉修造の友情物語。

水田夫人のたみと19歳になる娘のさと子も門倉に世話になっていた。
仙吉と門倉は20年以上の付き合いがあり、
さと子にとっては血の繋がりこそないが、身内同様と思っている。

仙吉、門倉、たみの三人を娘のさと子は理解することができない。
どうみても、門倉はたみに心を寄せ、
母のたみも門倉に対してよく思っているように見える。
そのうえ、仙吉も門倉の心を気付いているのに口にしない。
しかし、さと子は自ら恋を知ることになる。
口に出さない恋もあるのだ、と。


門倉の気持ちに気付いていた門倉の妻・君子は
「門倉と別れるつもりだ」と仙吉とたみに言った。
しかし、
積み将棋の話題をだし、仙吉は言う。
「おかしな形はおかしな形なりに均衡があって、
それがみんなにとってしあわせなかたちということも、
あるんじゃないかなあ」

(一つずつ駒を抜いて、崩さないようにするアレですね)
ひとつが抜けたら
「みんな潰れるんじゃないですか」

ここの三人の描写がとても印象に残りました。
好きだから、口に出すとか、一緒になるとか
抱くとか、そんなことをおくびにも出さない門倉。
何も言わず温かく見守る仙吉、主人によりそうたみ。
一番大事なことは口に出さないと知った娘・さと子。

十分切ないのに、幸せという形を表現した向田邦子さんは色褪せることはありません。


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ラベル:小説 向田邦子
posted by オハナ at 15:26| Comment(0) | TrackBack(0) | マ行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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