2011年02月28日

さよならの代わりに   貫井徳郎


内容(「BOOK」データベースより)
「私、未来から来たの」。
劇団「うさぎの眼」に所属する駆け出しの役者・和希の前に一人の美少女が現れた。彼女は劇団内で起きた殺人事件の容疑者を救うため、27年の時を超えて来たというのだ!
彼女と容疑者との関係は?和希に近づく目的は?何より未来から来たという言葉の真意は?
錯綜する謎を軽妙なタッチで描く青春ミステリ。


      **  **  **

「私、未来から来たの」
と言いだす少女・祐里。
女経験値が低い劇団員・和希。

彼女は未来からやってきて、ある殺人事件の真犯人をみつけるために奔走する。
そして、和希は彼女に振り回される、とにかく人の良いやつ。
この組み合わせ、掛け合いだけでも十分面白かった。

貫井作品というと、重い、というイメージが先行してしまいますが、
SF青春ものと思って読むと感じ方が変わってきます。


どんなにもがこうとも、
彼女のいる未来では“何も変わっていない”のです。
それなのに、過去に戻って真犯人を探して未来を変えようとする。
しかし、未来は“何も変わらない”。

実は、彼女は過去も未来も変わらないと知っているのですね。

なんか切ないなぁ。



時間SFってたまにこんがらがってしまいますよね。
(私の頭が悪いのか…)


ミステリとして読むとダメかも。
犯人もわかるし、冗長気味だし…。
軽い感じで読むのをオススメします。
そうすると、なかなかいいものです。
(私が貫井徳郎贔屓だからだろうね)




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ラベル:貫井徳郎 小説
posted by オハナ at 21:28| Comment(0) | TrackBack(0) | ナ行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月25日

図書館貸出猶予。


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110225-00000650-yom-soci

気鋭の小説家、樋口毅宏(たけひろ)さん(39)が、25日発売の「雑司ヶ谷R.I.P.」の巻末に、公立図書館での貸し出しを、新刊の売れ行きに影響が大きい刊行から半年間、猶予するよう求める一文を掲載した。

 樋口さんは「さらば雑司ヶ谷」で一昨年デビュー。続編となる新作は、昨年1年の大半を執筆にあてた力作だが、定価1600円で初版6000部のため、印税は96万円。一方で、昨年12月刊の自著「民宿雪国」が、ある図書館で44人もの貸し出し予約が入っていることを知り、それが今回の行動のきっかけとなった。

 日本文芸家協会は、図書館の貸し出し実績に応じた補償金を著者へ払う制度の導入を国に求めているが、実現していない。

 樋口さんは「(増刷されなければ)僕の昨年の労働の対価は、印税の96万円だけ。このままでは、皆が卵(本)をただでもらううち、鶏(著者)はやせ細り、死んでしまう」と話している。


ふむふむ。なるほど、なるほど。
確かに、私が贔屓している作家は定価でちゃんと購入させていただいてます。
この著書の言いたいこともわかるんですが、
もし「猶予」となってもそんなに変わらないとは思うんですよね。
第一、単行本じゃなくて文庫化を待つ人ですら多いんですから。
半年どころじゃないですよ、文庫化なら約三年でしたっけ?


読む側からしても、世の中にどれだけの本があるのかわからないんですよね。
大量大量。
そう考えると、一生のうちに読める本なんてしれてますし。
どんなに良本でも名前すら知らないまま……なんてこともあるかも。
ベストセラーが名作だとは限らないし、ねぇ?

この著者のことも知りませんでした。
発言の通り、猶予、ということにはならないかもしれませんが、
声を上げ、名前がニュースに上がっただけでも私からするとラッキーですね。

おかげで私も著者の名前を知ることができました。

どんな作家なんだろう……。


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ラベル:戯言
posted by オハナ at 22:44| Comment(2) | TrackBack(0) | 戯言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

死を騙る男   インガー・アッシュ・ウルフ



内容(「BOOK」データベースより)
小さな町の平穏は、その殺人で完全に破られた。被害者は末期癌の老女。
死体は喉が切り裂かれ、奇妙な細工が施されていた。
小さな警察署を署長代理として率いるのは、61歳の女性警部補ヘイゼル。
不可解な事実がつぎつぎと明らかになり、やがて事件はカナダ全土へと波及する…。
困難を抱えた女署長と、謎に包まれた殺人犯の対決を圧倒的な筆力で描く、迫真の警察小説デビュー作。


     **   **   **

カナダの田舎町で起こった殺人事件。
様相は悲惨、遺体には奇妙な細工が施されている。
殺人とは無縁の小さな町の警察署が舞台となり、
主人公は活発な若者ではなく……61歳の署長代理女性警部補のヘイゼル。

ヘイゼル自身もいくつか悩みを抱えており、その中での異様な殺人事件が起こった。
彼女の性格がこれまた奔放なのです。
アルコールをかっくらうし、飲酒運転はしちゃうし、
保身のために自署だけで突っ切っちゃうし…
映画の中のヒロインのようです。

とはいえ、ストーリーはとても骨太です。
犯人が殺人を犯した理由、登場人物たちの魅力、刑事たちの確執など細部にまでドラマがあり、こだわっているようです。

どちらかというと、ただのミステリという感覚は受けなかったです。
読み進むたびに、ひとつひとつの意味を深く考えてしまいます。
なるほど、解説によれば作者紹介は「純文学作家の変名」だそうです。


カナダの事情(人種、原住民、孤独死等々)も読むにつれてわかってきます。

ただ、読んでいくうちに登場人物たちの顔が、私の頭にイメージされていくのにも関わらず、
犯人の顔がのっぺらぼうのままでした。
これはおそらく作者の意図であろうか。
犯人を理解できるわけがないのだ、ということを。


それにしてもひどく時間がかかった本だったなぁ。


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posted by オハナ at 20:43| Comment(0) | TrackBack(0) | ABC | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月18日

パレード    吉田修一


内容(「BOOK」データベースより)
都内の2LDKマンションに暮らは男女四人の若者達。
「上辺だけの付き合い?私にはそれくらいが丁度いい」。
それぞれが不安や焦燥感を抱えながらも、“本当の自分”を装うことで優しく怠惰に続く共同生活。

そこに男娼をするサトルが加わり、徐々に小さな波紋が広がり始め…。
発売直後から各紙誌の絶賛を浴びた、第15回山本周五郎賞受賞作。


   **    **    **

核心に触れているため、注意してくださいm(__)m






「上辺だけの付き合い?私にはそれくらいが丁度いい」

共同生活をする男女4人。
もめ事も起こらず、居心地がいいとすら思える2LDKのマンション。
なぜ、共同生活を続けられるのか。
それは、インターネットのチャットのようなもの。
嫌なら出ていけばいい。いるなら、笑っているしかない。

私自身もどちらかというと、上辺でいいじゃん、と考えている。
今日はこんな気分だから、この子と居よう。
今日はそんな気分じゃないから、この子とはいたくない。
その人専用の「私」がいるのも事実で、それが当たり前。
本当の私はどれ?――ではなくて、それも「私」。
それを楽しむ自分もいる。


さて、この作品は、章ごとに語る人物視点が変わっていきます。
さらりとしたドライな関係が淡々と語られて何気ない日常の描写も細かい。
結末より、読み終わって全ての人物を通して、
それから自分を見つめると“憐れだな”“怖いな”と感じました。


これは自分かもしれないから、自分を取り巻く環境かもしれないから。
そう思うと自分が空恐ろしくなりました。
こういうことが、あるかもしれない。
私もそうなのかもしれない。
すべての「私」を知っている人はいないと思っていた私、
けど、本当はみんな知っているかもしれない……ということすらも思えてきます。
(……心当たりがある。友人が隠しているであろう事柄には敢えて触れず、笑顔で接するのはよくあること)


よくある光景よねぇ、気楽でいいじゃない、私もよくあるわぁ――
そこまで登場人物に共感しておいて、ラストに突き落とされる怖さ。
私も同じなの?この人たちと?
私も琴たちと同じように、
直輝がジョギングに行く時は迷惑な顔をするだけなのか、
ジョギングを止めないのか、
それはつまり、直輝がどのようになってもいいと思っているのか。
同じかもしれないね、と著者に言われた気分。
(考えすぎだろうか……)

日常を切り取ったドキュメンタリーのようなもの。

これは読んだ人によって読後の感想、着目する箇所は全く違ってくると思います。




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ラベル:小説 吉田修一
posted by オハナ at 18:25| Comment(0) | TrackBack(0) | ヤ行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月17日

姑獲鳥の夏   京極夏彦


内容(「BOOK」データベースより)
この世には不思議なことなど何もないのだよ―
古本屋にして陰陽師が憑物を落とし事件を解きほぐす人気シリーズ第一弾。
東京・雑司ケ谷の医院に奇怪な噂が流れる。
娘は二十箇月も身籠ったままで、その夫は密室から失踪したという。文士・関口や探偵・榎木津らの推理を超え噂は意外な結末へ。


    **    **    **

ひさしぶりの再読。
学生の時に600pも超える本を読んだ達成感と
京極堂に魅了されたことは今も忘れられません。
(と言っても、シリーズ読破しておりませぬ)

こんな世界があるのか……と読了後、ほぅ、と恍惚感にどっぷり浸りました。
当時は最初に延々と語られる蘊蓄には「えぇ、長いよ〜」
と思いましたが、興味深い。

この世には不思議な事など何もないのだよ。

京極堂のこの一言には、すとんと自分自身に収まりました。
そうか、不思議なものはないんだね。そうかそうか。


今改めて読んでも面白い。
読んでいて何が一番興奮するかというと、
京極堂が憑き物落としへ向かう時。
カッコイイ。(嘆息)
探偵・榎木津の変人ぷりも好きなのです。

密室状態で消えた夫、妻は20ヵ月を超えても妊娠し続ける、
赤子は次々と消えていく……。

不思議なことだらけですが、
ミステリーという概念を取り去って、取りあえず独特な世界観を味わう事をオススメします。


小畑健が装丁を書いた分冊も気になるね。



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ラベル:小説 京極夏彦
posted by オハナ at 16:24| Comment(0) | TrackBack(2) | カ行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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