2010年11月19日

私が語りはじめた彼は  三浦しをん



内容(「BOOK」データベースより)
あっという間にアカの他人。
でも実はまだ切れていない、「彼」と私の仲。
それぞれの「私」は闇を抱える、「彼」の影を引きずりながら。
男女の営みのグロテスクな心理を描く“関係”小説。
「彼」のなにを知ってるのか?
「私」のことさえよくわからないのに…。
闇を抱えつつ、世界は今日も朝を迎える。
男女と親子の営みを描く、「ミステリ+心理小説+現代小説」という連作短篇。
『小説新潮』連載を纏める。


         **       **

妻も子供もいる中年男性は愛を求める。
そして、なによりその中年男性の愛を貪り求める人間たち。
女だけではなく、男もその男性に認めて欲しかった。

連作短編なのですが、ようするに中年男性の浮気物語です。
そんな単純な話でもないんですが、ようするにです。

しかし、中年男性視点では語られません。
その男性をとりまいている
教え子、妻、再婚相手、娘、息子……たち。

非常に綺麗な文章で、純文学風といいますか、
繊細で大胆で儚く、ときに残酷な印象を受けました。

一章をじっくりと味わいながら読むほうが
いいと思います。

欲を言うならば、やはりほんの少しでもいいので
中年男性視点が欲しかったですね。

長々とはいりませんが、
彼の声や見た情景が見たくなりました。

あぁ、なるほど。
ある意味そんな男性を気になっている一人に
私もなっているのかもしれません。

三浦さんのイメージが変わる作品でした。


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posted by オハナ at 23:51| Comment(0) | TrackBack(0) | マ行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月17日

悪党たちは千里を走る   貫井徳郎


内容(「BOOK」データベースより)
しょぼい仕事で日々を暮らすお人好しの詐欺師コンビ、高杉と園部。
ひょんなことから切れ者の美人同業者とチームを組むはめになり、
三人で一世一代の大仕事に挑戦する。
それは誰も傷つかない、とても人道的な犯罪計画だった。
準備万端、すべての仕掛けは順調のはずだったが…次ぎから次ぎにどんでん返しが!
息をつかせぬスピードとひねったプロット。
ユーモア・ミステリの傑作長編。

       
     **        **

出だしからコメディ調。
詐欺師・悪党たちが主人公なのですが、
お人よしで可愛さがあるので軽快・爽快感があります。

貫井作品で“異色”といわれるのは、
やはり重量感がないせいですね。
ですから、そのカラーを求めていると
評価は下がるかもしれません。

犯人はある程度わかるんですが、
やっぱりトリックはまったくわかりませんでした。
またその身代金受け取り手段は
古くなく現代にふさわしいものになっていました。

でも、私的には舎弟の園部がうさんくさかったです。
嘘くさい舎弟に見えたんですね。
身近な人が犯人の仲間なんて安いことは
貫井さんはするはずもないのに、園部ばかり睨んでいました。
私の脳みそではしょせんそんなもんですよ。

娯楽クライム小説としては十分楽しめました。


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2010年11月15日

そういえば、総入れ歯


……いや、私は総入れ歯ではないんですが。

昔、小学生上がりたてのころ、
マセた女子はよくティーン雑誌を読んでました。

その雑誌は高校生を対象としていて、
おもにファッションと大学生への憧れのようなコラムが
多かったように思えます。

今考えると、とても過激な内容で
思春期のブレまくっているハートを暴力的な知識で揺さぶります。

○○は超痛いんだって〜。
○○してるときに抜けなくなって、
救急車で運ばれました〜。

……的な。ヲイ。

今考えると、笑えるんですが、
当時は「まじかよ」と女子のハートは
好奇心とともに恐怖に震えあがりました。

そんな猥談記事の中に、
笑える記事も毎号きちんとありました。
ページは後ろの方で、ついで感丸出しですが。

当時、お金がないので雑誌をスミズミまで読んでいました。
そこで、言いまつがいならぬ、聞きまつがいのコーナーを
よく目にしました。

今考えると、それも編集者が盛り過ぎた感じも否めませんが…。

「そういえば」という言葉が、
「総入れ歯」に聞こえるということを大きく書いてありました。

純粋無垢な女子中学生は信じました。
「へぇ〜!!」この時点でおかしいんですが……。
それまでの生活の中で「そういえば」
「総入れ歯」に聞こえたことはありません。

だって、小学生あがりたての女子が
「総入れ歯」という単語なんて知りません。
いや知っていたとしても、聞いたことがある程度ですよね。

なぜなら、そんな単語使うときってあるのかよ。
小学生あがりたての女子が……。

やっぱり、こう考えてみると、
編集者という大人の知識の飲み屋の戯言を勝手に埋め込まれていたんです。
あたかも、女子高生がせっせとハガキを書いて
投書したかのように見せかけて。

だから、大人になった今でも会話の中で
「そういえば〜」って言葉を聞くと
昔みた記事、「総入れ歯」を思い出すんです。

それを何百回以上繰り返し、
頭の中がうるさくなったので思いのたけを
今回ぶちまけた次第です。

タグ:戯言
posted by オハナ at 17:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 戯言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月14日

八日目の蝉   角田光代


内容(「BOOK」データベースより)
逃げて、逃げて、逃げのびたら、
私はあなたの母になれるのだろうか。
理性をゆるがす愛があり、罪にもそそぐ光があった。
角田光代が全力で挑む長篇サスペンス。

          **         **

不倫相手の乳児を誘拐し、
三年半逃亡生活をする希和子。
その乳児は薫と名づけられ育てられる。
希和子は逮捕され、
薫と呼ばれていた恵理菜は、
元の親のところへ戻り大学生となっている。


不倫をしたあげく、乳児を誘拐する。
そういってしまえばおしまいなのですが……。

絶対にしてはならない「間違った」ことをした希和子。
愚かなこととはわかっていますが、
愛情とはどんなに深いことだろうと思いました。
すべてを捨ててもいいという思いでも、
ただ一つのものを守り抜こうとする希和子の感情が、
行間から溢れ出ています。

そして、引き裂かれてからの恵理菜の心情。
元に戻った生活は、決して元には戻っていない。
希和子を憎むことで、
なんとか自分の居場所を確保しようとする。
しかしながら、希和子と同じような状況に立たされる…。

角田さんは、
愚かで、でも賢い。
弱くて、でも強い。
そんな等身大の女性を鋭く表現してきます。

引き裂かれるときの
「その子は朝ごはんを食べていないの」
と叫んだとされるところは、心に響きました。


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posted by オハナ at 17:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 角田光代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月12日

死ねばいいのに   京極夏彦


内容(「BOOK」データベースより)
死んだ女のことを教えてくれないか―。
無礼な男が突然現われ、私に尋ねる。
私は一体、彼女の何を知っていたというのだろう。
問いかけられた言葉に、暴かれる嘘、晒け出される業、浮かび上がる剥き出しの真実…。
人は何のために生きるのか。
この世に不思議なことなど何もない。
ただ一つあるとすれば、それは―。
       
     **        **

若い健也という男が、死んだアサミを知るために、
生前の彼女の関係者に尋ねてくる。

その若い男は、20代でロクに職にも就いてない、
礼儀もなっていない、鈍感なやつ。

アサミの上司、アサミの隣人、
アサミの彼氏、アサミの母親、担当刑事…

みんな結局アサミのことよりも、自分のことばかり話す。
私は頑張っているんだ。
私だって我慢してきたんだ。
評価してくれない。
優しくしてくれない。
嫌われている、
蔑まされている。
勝ちたい。

上司、隣人、彼氏、母親、刑事の話を聞いていると、
ハッとさせられることもあります。
少なからず、一瞬でも自分自身も思ったことはある感情。

いろんな理由をつけて行動しないのは、
大人の特徴なのかもしれません。
それに対して、社会的不適合(?)プーな健也に言われます。

厭なら辞めりゃいいじゃん。
辞めたくねーなら変えりゃいいじゃん。
変わらねーなら妥協しろよ。
妥協したくねーなら戦えよ。
何だって出来るじゃん。何もしたくねーなら引き籠もってたっていいじゃん。


なんて分かりやすい言葉でしょう。
確かに、私も学生のころは
大人を見て同じこと思っていたような気がします。

「引き籠もりにもなれねーヘタレってことじゃんか」

思わず、登場人物と同じく
そーだよね。
って思ってしまいました。


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posted by オハナ at 20:43| Comment(0) | TrackBack(0) | カ行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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